トヨの「今日も眠いです」

睡眠時間がとにかく長い猫~トヨ 2017年3月14日、永遠の眠りに就きました

2020年03月

暦通りに春の気配を感じていましたが、東京には先日は季節外れの雪が舞いました。
そして、3月23日は花冷えの一日でした。



寒い日には暖話室(ヒーター)が活躍します。
トヨは布団に包まれることも好きでしたが、じんわりと温まることのできる暖話室の側で過ごすこともよくありました。



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トヨのために購入した暖話室、トヨが死んだその日の朝にスイッチを切りました。
トヨを火葬した後も電源を入れることはしませんでした。
まだまだ朝晩は冷える日が続いていましたが、トヨの居ない部屋で私だけが温かく過ごすことに、上手く言えませんが、抵抗のようなものがあったと記憶しています。
間もなく暖話室を片付けてしまいました。



もう使うことはないと思っていましたが、その年の秋から冬にかけて、暖話室は再び部屋を温め始めます。
縁あって、子猫がやってきたからです。
そして今、トヨの居た場所には成長したその猫が座っています。



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とよちゃん。
暖話室の柵にはね、猫の毛がくっついているんだよ。
トヨの毛もあるんじゃないかな。






昨年の3月23日、遺骨を粉骨しました。





その粉の一部は土に埋めました。
空中に舞った粉もあります。
私の言葉で表現するならば、地球に還しました。
私の心の言葉で表現するならば、トヨは何処かに漂っています。
それは、私のすぐ傍かもしれないし、私とは離れた場所や知らない土地かもしれません。


私は、実は、殆ど写真撮影をしません。
猫は別ですが。
もう何年も旅行というものもしていませんが、出かけた先でも撮影することは殆どありません。
自分の記憶に留めておけばいいかな、と考えています。


久しぶりに散歩してきました。



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其処に居るのかどうかはわからない。
地球に還ったトヨが桜になったのかどうかもわからない。
でもね、とよちゃん。
幾度も訪れた場所だけど、初めて桜の撮影をしてみようと、そんな気分になったんだよ。





もうひとつの↓






毎日、笑って過ごしています。


それなりに恙無く暮らしています。
近所の花屋で、肉屋で、おまけを付けてもらうことに少し嬉しくなります。
無駄に夜更かしをしてしまい疲れを溜める自分に少し情けなくなります。
休日は出掛けずゆっくりと過ごし、平日は決まった時刻の電車に乗り職場へ向かいます。
変わらない日々を繰り返すことに、特別な感慨を覚えるほどではありませんが、安心感のようなものはあるように思います。



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いつもと同じ。
けれど、それは当たり前のことではなく、いつか変わり、終わる。
猫も、人も。


今を共にする猫が私に頼り、甘える。
私のすぐ傍で、私の膝の上で、寛ぐ。
身体中の力を抜き、やがて緩やかに寝息を立てる。
私は、猫のおでこ、頬、顎、首、背中、四肢、やがてお腹まで、ゆったりと静かに撫でる。
しんとした室内は、その瞬間はまるで時が止まるようにすら感じる。
そこにはあたたかいものしかない。
猫が見せるとろりとした表情に、私が感じるものは、これは慈愛なのであろうか。


あのね、とよちゃん。
かわいくて、いとおしくて、たまらない。
とよちゃんではなく、目の前の猫が。



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目を閉じ、全身の力を抜いて眠る猫の姿は、私にトヨの最期を思い出させます。
私が手を差し出すと、眠っているはずの猫は、頭を押し付けてきます。喉を鳴らします。
その猫の体温が、音が、容姿が、私を魅了します。
猫は、生きています。
瑞々しく。
若々しく。



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トヨが死んで、3年になりました。
トヨは12年と数ヶ月生きました。
その命は短かったのかどうなのか。
考えても仕方ありません。
もっと共に過ごしたかったのかどうなのか。
そうに違いありません。


私よりも後に生まれ、私よりも先に逝く。
その一生を見届けられることは幸運なのだと感じます。
と同時に、苦しく辛いことでもあります。
けれど、トヨとの巡り合わせがあり、今の暮らしがあります。
有難いことです。



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ある夜のこと。
買い物帰りに花屋に寄るつもりでしたが、到着する寸前に店の照明が消えました。
立ち寄ると、ご主人がシャッターを降ろしかけているところでした。
遅くなっちゃった、また来ますね。
と、挨拶だけして帰るつもりでした。

「いいよいいよ、これあげる」

鷲掴みにしたチューリップを笑いながら手渡してくださいました。
たかりに来たみたいになっちゃいましたね、と笑いながら受け取りました。
有難いことです。






もうひとつの↓
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