トヨの「今日も眠いです」

睡眠時間がとにかく長い猫~トヨ 2017年3月14日、永遠の眠りに就きました

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ちなみに、波平の身長は178cmとの情報がある。
(マジかよ)



では、最近読んだ本の続き。

「雑草群落 上下」 松本清張
主人公は62歳の古美術商。その愛人、資産家の製薬会社社長、側近たち、文部省技官(鑑定人)、男盛りの一人息子、同業者、売れない画家など、それぞれに欲望や思惑を抱えた登場者たちの人間関係やそこで生じる疑惑や葛藤を、金銭や情を絡めて描く。
何が起ころうと、人は自分が時を変え時には場所を変えずる賢くも這い上がろうとする。逞しくはびこる雑草のように。
殺人事件の起こらない清張作品は珍しいかもしれません。上巻を読み終えてもまだ誰も死なない展開に、おやおやおや?と思いながら読み進めました(笑)
実家にあった文庫本を、移動中にでも読もうと持ってきましたが、確かに移動中用の文庫本という感じです。特に何も心に響くものはなかったなぁー。
昭和40年に新聞に連載されていた小説らしいです。


「ねこだらけ」 横山キムチ
登場するのは猫だけの、セリフも説明も無い4コマ漫画です。淡々と描かれているだけに、内容によってはニヤリとしてしまうものもありますが、これは好き嫌いがはっきり別れるだろうなと思います。
私は、どっちかというと、いまいちでした。続編も出ているようですが、買いません。
どこかでたまたま手にすることがあれば、積極的ではなくなんとなく読むことはあるかもしれませんが。


「天才柳沢教授 タマとの生活 完全版」 山下和美
天才柳沢教授の生活、というシリーズがあるようです。その柳沢教授と飼い猫タマとの生活だけをまとめた一冊です。たぶん。
私は漫画はほとんど読まないので、柳沢教授の人柄や職場や家庭環境や、そもそも何の教授なのかも知らず、何の予備知識も無いまま読み始めました。
教授と猫との生活を描いた連作なので、本作では教授はいつも家にいます。本当に働いてんのかよ、と読み始めた時は一瞬思いましたが、よくよく考えてみれば、教授の日常からタマとの触れあいの場面だけを抜粋したものだろうから特におかしなことではないと途中で気がつきました(笑)
何事も理詰めで解答を得ようとする柳沢教授、猫好きで教授思いの優しい奥様、奔放で教授になつくタマ、すべてが愛らしく微笑ましく、読んでいて自然と笑顔がこぼれる作品です。
教授の理詰めの行動や考え方は、猫に対してもまっすぐ向かいますが、それは決して人間の物差しで猫を支配する為ではなく、猫を尊重し、もっと知りたいという欲求からであり、そしてそこには猫への愛が溢れています。
猫の表情や態度や行動と、それに関わる人の描き方から、作者の猫への思いがよく伝わってきました。
何事においても猫を優先することは、人が好んでそうしているだけであって、そのこと自体が人にとってとても心地よい。
そんなことを再認識いたしました。




では、本日は浦和方面へ行ってきます。
トヨっぺ、留守番ばっかりやなぁー。


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早く帰ってこいよ



うん、なるべくそうします。






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☆もうひとつのトヨの『今日も眠いです』

略して、イソナミ。
つまり、現在忙しい波に飲まれ漂っております。

疲れが取れねーな、そういう世代やな、昭和やな、熱中時代やな、黒電話世代やな、恋のテレフォンナンバーシックスセブンオーオーやな。


どんなに忙しくても、最近は読書フィーバーにも冒されておりまして、ちょこちょこ読んどります。余計に肩が凝りまする。余計に疲れが取れませぬ。
(阿呆やん)



「まほろ駅前番外地」三浦しおん
前作、まほろ駅前多田便利軒の続編。今回は主人公多田の視点ではなく、周囲の人物視線で描いた多田便利軒(便利屋さん)のお話。
うん、まぁ、テイストとしては前作とは変わらないかな。ちなみに、前作は直木賞受賞してるそうです。
アウトローとまではいかないにしても、とある街で裏の世界にも少し関わりつつ便利屋稼業を真面目にこなし生活している主人公ともうひとり。仕事をする中でトラブルにも直面するが、結果的には人助けをしているそんなふたりを、軽快な文章でかつ心に響く言葉で時にかっこよく時にだらしなく描いて…いるのだと思います。
私が高校生とかだったら、素直にかっこいいなぁー、って感じてるかもねー。映像的なかっこよさ、みたいなね。
でも、なんていうか、こういうのって、松田優作とか萩原健一とか、その辺でもう描き倒してる感があるんだよね、と思う訳やね、私個人としては。
面白くない訳ではないけど、時間潰しにさらりと読むには丁度いいかな、的な感じです。


「ソロモンの偽証 第Ⅰ~Ⅲ部」宮部みゆき
中学二年生の男子が真夜中に校舎から転落死、それは果たして事故か事件か。
視点を変えればものの見方はガラリと変わります。目の前の事実は本当に真実なのか。私たちは、日常でわかっていることを、本当はわかっているつもりなのではないか。そう思い込んでいるだけではないか。
与えられた情報は、それがすべてか。それだけですべてを理解していいのだろうか。
余計な感情や情報や噂を排除して、現実の事実だけで物事を判断できるだろうか。冷静でいられるだろうか。それは、本当に真実と言えるのだろうか。
想像力を働かせなさい、考えなさい、と感じました。
裁判員制度により、ごく普通の生活を送る私たちが推定無罪の容疑者や被告人を裁かなくてはいけない時代に今はなりました。
著書内で直接的にそう言っている訳ではありませんが、人は感情に流され多数派に流されがちです。自分の思いだけで人を計りがちです。
真実は、人によって、時に違います。
長編で読み応えもありました。登場する中学生がそれぞれ成長したように、読者もそれぞれに考えることができるように思います。


「猫の形をした幸福」 小手鞠るい
これはラブストーリーです。男と女と猫のラブストーリーです。でも、愛を求めて戸惑う男女の陳腐なお話ではなく、愛を知る大人の男女と飼い猫との優しくて切なくて悲しくて、でもあたたかくて深い愛のお話です。
猫という生き物は不思議です。
タイトルがすべてを物語るように、猫と生活を共にし、猫を愛したことのある人ならば、そしてあなたが大人といえる人ならば、必ず琴線にふれることでしょう。
命には限りがあります。猫は、生きて年を重ね衰え、だいたいの場合人より先に逝くことで人に教えてくれる気がします。
主人公は、パートナーを愛し、猫を愛し、猫がいることでそのパートナーと同じ幸福を共有していきます。思いが違っていても、その猫の形をした幸福がふたりを導きます。絆は目に見えるものであり、また見えないものでもあります。
猫がいれば、悲しい別れも必ずあります。猫はそれすら知っているのかもしれません。知っていて知らんぷりをして、人に愛させるのかも知れません。
けれどそれは終わりではなく、それもまた猫の形をした幸福であり、愛なのかもしれません。
大人に、更に猫を知っている大人に読んで欲しい物語です。


では、今日は川崎方面へ行ってきまーす。

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